2016年I期 1-12

震災と地域再生
-石巻市内と北上町の震災復興の現在-

コース概要

担当教員 辻 英史・西城戸 誠・杉戸 信彦
日程 2016年 8月 9日~ 12日
場所 宮城県石巻市(市内および北上町)
参加人数 23名

コースの狙い

津波被災地である石巻市の市街地と半島部の双方を訪問し、震災からの地域再生、復興の現状と今後の課題についての理解を深める。

内容

本フィールドスタディの経緯と目的

2011年3月に発生した東日本大震災による津波によって、宮城県石巻市は大きな被害を受けました。法政大学人間環境学部では、震災直後からNPO法人パルシックと協働して、石巻市市街地や北上町における震災ボランティアを実施してきました。2016年度は2013年度に引き続き、石巻市を舞台として、震災復興の現場と地域再生にかかわるさまざまな試みを訪問し、また地域住民から、復興の現在の話を伺うことで、「復興とは何か」「復興支援とは何か」を考えていくプログラムです。

行程について

 1日目:みやぎ連携復興センター(仙台)にて、宮城県全体の震災復興のプロセス、宮城県の復興応援隊など、復興支援の担い手やその制度に関する講義を受けました。その後、JR仙石線で石巻に移動しました。みらいサポート石巻の方から、石巻市を中心とした復興支援の過程について伺いました。また、みらいサポート石巻による支援活動と、東日本大震災における支援活動と国際協力支援や熊本地震に対する支援と比較しながら、震災支援のあり方を考えました。続いて、中小企業支援を行っているまきビズの活動について学びました。3つの講義によって、震災復興の中間支援のあり方、支援―被支援の関係性について、支援・復興のマニュアルの是非などを学びました。

 2日目:みらいサポート石巻によるアテンドで、津波被害があった沿岸部に行き、震災語り部の方から、震災当時の様子について歩きながら話を伺いました。また、震災直後の写真などを記録したタブレットを持ちながら、街歩きをしました。そして、津波被災地の記憶をどのように伝えていくのか、震災伝承のあり方を考えることになりました。その後、北上町に移動し、宿泊先の追分温泉の方からも、震災当時とその後の地域再生・観光のあり方について議論を行いました。

3日目:午前中は、北上町の橋浦地区で農業を行っている大内産業を訪問し、簡単な農作業を行いつつ、震災後の農業についてお話を伺いました。その後、武山喜子さんから仮設住宅での生活について、ボランティア支援の問題点についてなど、一地域住民の声を聞くことができました。午後は、十三浜地区で漁業の六次産業化を行っている西條水産のレクチャーを受けました。北上地区の生業である農業と漁業の復興について、現状と課題について学びました。その後、大室地区に移動し、ホヤとホタテの殻剥きの体験をし、きたかみインボルブの皆さんと一緒にバーベキューをして交流しました。

4日目:女川町に行き、まちづくりNPOアスヘノキボウと、スキューバーのハイブリッジの方の話を伺いました。女川町のハード面の復興の状況を見学し、地域によって復興のスピードが異なることを学ぶことができました。

以上の4日間のフィールドスタディによって、私たちは、震災を伝えることや復興支援の意義と課題、さらに震災後の地域再生のための課題について、さまざまな観点から考えることになりました。

初めてウニとホヤをさばく
震災語り部の方からのレクチャー
北上町橋浦地区での農業体験

学習を終えて

震災から5年たち、人々は徐々に震災が起こったことから意識がうすれていき、復興が大きく進んでいるから支援はもう大丈夫と考えている人もいると思います。しかし、今回、石巻フィールドスタディで現地の方や支援をしている方のお話を聞いて、高台移転の住宅整備に個人差があったり、各地域での細かな整備が進んでいなかったり、復興までにはまだ時間がかかると感じましたそして、今回の石巻フィールドスタディでは、震災復興に関わるさまざまな人から話を伺いましたが、すべての人に「前向きに考えよう」という共通点があったと思います。確かに震災を伝承することで、被災者がつらいことを思い出してしまうという課題がありますが、震災を伝承していくべきであることや震災後前向きに考える人が増えることこそが、震災復興そのものであるのではないかと思うようになりました。私自身のこれからの生活の中で石巻にかかわることはそれほど多くはないのかもしれませんが、震災があったことを忘れず、これからどのように復興がより進んでいくのかを、自分で見つめていきたいと思っています。(渡邉紗央 ・人間環境学部2年)