2016年I期 1-5

国立公園の魅力を支える地域活動にふれる
-北海道サロベツ湿原と利尻島を訪ねて-

コース概要

担当教員 高田雅之
日程 2016年9月7日~11日
場所 北海道:利尻礼文サロベツ国立公園
参加人数 29名

コースの狙い

国立公園の優れた自然にふれ、NPO活動などによる保全や、産業振興との共生に取り組む人々の活動現場を訪ね、自然の魅力を支える地域社会の課題と在り方について学びます。また稚内市の自然エネルギーの現場を訪ねて自然との関わりを考えます。

内容

サロベツ湿原地域

初日はまず、日本最北の国立公園「利尻礼文サロベツ国立公園」の中のサロベツ湿原を訪ねました。活動の中核施設であるサロベツ湿原センターでNPO サロベツエコネットワークの方や、長くサロベツを見守ってきた地域の方のお話を聞いて、サロベツの自然やNPO活動、地域の人々との関わりについて学びました。夜は豊富温泉の宿で事前学習の成果をNPOの方に見ていただき、意見交換を行いました。
翌日2日目はサロベツ湿原の木道を散策しながらかつての泥炭の採掘跡地や、地平線が見える日本最大の高層湿原の雄大さを体感しました。そして海岸に沿って連なる砂丘列の森林再生について学習したのち、現場を訪ね植林用のドングリを育てる苗畑で草むしり活動に汗を流し、再生地の見学をしました。海岸で日本海の風を浴びたのち、午後は山本牧場に酪農の現場を訪ね、子牛にミルクをあげる体験とともに、湿原と農地との共存の取り組みについて学びました。次いで環境省の自然保護官から国立公園の価値や管理についてのお話を聞き、牧草地を歩いて自然再生の現場を案内していただきました。

利尻島地域

3日目に稚内から船で利尻島を訪ねました。溶岩が所々むき出しになった沓形の岬公園などを散策したのち、神居海岸パークで観光体験プログラムのひとつであるウニ採り体験をし、採りたてのウニに舌鼓を打ちました。そして観光協会の方に島の自然資源を観光や地域づくりに生かす取り組みについてお話をいただき、有意義な意見交換を行うことができました。島ガイドの方の案内で街中に残された古い建物と倉を生かした「島の駅」を訪ね、アートや文化の視点から地域づくりに取り組む活動について学びました。夜はホテルで事前学習の成果を地域の方に見ていただき、利尻島の抱える課題や魅力について意見交換を行いました。
4日目はまず博物館を訪ね、地域の自然を知り資料を保存することの大切さを学びました。次に島の経済を支えるウニ種苗センターを見学し、さらに利尻岳登山道の浸食問題やトイレ問題を現場で学びました。次いでオタドマリ沼、南浜湿原などを訪ね、最後に外来種オオハンゴンソウの駆除体験を行いました。夜に行った「利尻塾」では島の自然を守り生かす活動に取り組んでいる利尻島自然情報センターの方と実り多い意見交換をすることができました。

稚内地域

最終日の5日目はノサップ水族館で北の生き物たちと対面したのち、自然エネルギーをテーマに稚内のメガソーラーと宗谷岬ウインドファーム(風車)を見学し、サロベツや利尻で説明のあった風車と景観や野鳥との関係について現場で考えました。日本最北の地、宗谷岬からサハリンも遠望でき、自然の宝庫である道北のしめくくりとして、メグマ沼湿原を散策し北海道を後にしました。
このコースの目指すところは、国立公園の美しい自然を体感し、その最前線で活動する様々な方のお話を聞き、自然の保護と利用の「軋轢の姿」と「共生の姿」を自分の目で見出すことです。豊かな自然の地域にも多くの人が暮らしていて、地域との関わりなしに自然は守れないことを実感し、参加者一人ひとりに新しい発見と忘れ難い経験をもたらしたのではないでしょうか。

ドングリ植林のための苗畑で草むしり(サロベツ)
ウニ種苗センターで地域産業の舞台裏をのぞく(利尻)
「なぜ稚内?」メガソーラーの現場を訪ねる(稚内)

学習を終えて

「地域への愛情と人の歩み寄りの大切さ」

私は北海道の大自然に触れ自然の大切さを改めて感じました。そして現地で活動する方々からお話を直接聞けたことが心に響きました。自然保全を進める事も自然資源を生かし観光で地域を盛り上げる事も、その活動を主導する人々だけでなく、地域住民や農業など様々な産業に携わる立場の異なる人々の理解と協力が無ければ成り立たない事を知りました。その中で対立が生まれた際に、自分の立場だけでなく自分と異なる立場に立ちお互いが歩み寄ることの大切さを学びました。みなさんのお話を聞き強く感じた「地域への愛情」がその地道な活動に繋がっているのだと思います。とても印象深い学習になり、北海道を全身で感じることが出来ました!(1年 岡藤 さや香)

「もう一度行きたくなる大自然の魅力」

今回印象に残ったことは、周りに建物が何もない湿原の圧倒的な迫力です。東京では出会えない大自然に触れることで、心が浄化されるような感覚になりました。現地でたくさんのお話を聞かせていただいた中で、合意形成の難しさを学びました。環境保全や風車問題には住民や企業、行政など様々な関係者が複雑に絡み合っています。この問題構造は今後も出会うと思うので、このFSの経験を生かしたいと思います。この地は必ずもう一度訪れたくなる場所です。また行きたいです!(2年 篠澤 佑太)